展覧会場から、はたまた侯爵邸から、まんまと目当ての品物を盗み出す怪人が出没した。

大阪地検一級検事の不破俊太郎はどんな圧力にも屈せず、微塵も表情を変えないことから、陰で<能面>と呼ばれている。

足利幕府が擁立する北朝に皇統を奪われた南朝方。

都内のビル屋上で、加賀宝生流の能衣装をまとった男の死体が発見された。被害者は死ぬ前に能を舞ったらしい。

山形の村から神奈川の造り酒屋に出稼ぎに来た敬吾。そこでは若くして死んだ敬吾の祖父の親友であった老人が杜氏をしていた。

デビュー以後、立て続けに大作を発表し、話題を呼んだ異才、待望の再起動。純度、危険度、末端価格、すべて急上昇。

京の豪邸で、赤かぶ検事が主と能面を鑑賞していた時である。土蔵で執事が刺殺され、能面七点が消え失せた。

東京荒川区のマンションで、背広を着て女の能面をかぶった男性の白骨化死体が見つかった。猟奇殺人の容疑者は姿を消した妻。

笑いの本質とは?能面はなぜ必要か?世界の神話と日本の神話はどうして似ているのか―。

坂口安吾の探偵小説6編と東直己による安吾へのオマージュ1編を収録! *各編に東直己の解説つき 内容紹介:【坂口安吾 著】 『投手殺人事件』(一九五〇年) 職業野球の名投手が何者かに殺害された。